* OneLineNovelsFinishedProduct......一行小説完成品No.1〜No.5*


掲示板での「1行小説」を、完結した(と管理人が見なした)ものを1から5まで順に並べてあります。
もちろん、続きを書くのは全く構いません。
掲示板とはまた違った雰囲気をお楽しみ下さい。



Test(1)......From sai

夏休み
世界の中心で
大和が
愛を叫ぶ。


Test(2)......From sai

西暦2004/07/31
雪がちらちらと舞う野外ステージで
ひとりのアーティストを気取る男が
ハムレットの2楽章を聴いて、泣いた。
男は立ち上がって、涙を拭いた。
もう音楽はやめよう、と思った。


望むべきものは・・・?......From 大和

昨日が昨日になる瞬間
切り取られた空の下で
両腕をなくした女が
星を掴んだ。
変われない自分のために泣いた。濡れた地面からは花は咲かなかった。
アスファルトには小さな水玉模様が浮かんで、消えた。


青......From 大和 子音 sai

ジョン・レノンが逝った夜
太陽も月も無い違う銀河の地球に酷似した青い惑星で
猿に酷似した生き物達が、青い惑星に住まう全ての生き物が、「文化」など数える程しか持たない生き物達が
唯蒼く澱んだ大気圏の下、
実存する「神」の新たなる誕生を想い、
冥府へ旅立ちつつある「神」の新たなる誕生を願い、一心に祈りを捧げていた…

新しい「神」は「害敵」の存在しないその惑星に相応しく、ごわごわの体毛も、鋭い爪も、鋼の様な歯も持たずに産まれた…
それはまさしく、遠い惑星でつい今しがた他界した「ヒト」の姿に酷似していた。
住人達は困惑し、彼を「神」として扱うべきか、非常に困惑した。
丁度その時、同じ時刻に誕生したもう一人の赤子がいた。
彼女はまさしく住人達の子孫であった。
彼らは二人の赤子を「神」の住居に置いた。
そして…
男児は長い時を待たずして「神の座」から下ろされ、そこに最も近い住居に幽閉された。
女児は空いた「神の座」に一人ぽつんと残され、長い時、共に産まれたもう一人の赤子の事を常に想っていた。

長い間、幽閉された彼は考えていた。
「なぜ、僕は生まれたのだろう?」
「あの、神として祭られていた時期はなんだったのだろう?」
「僕は」
このまま淘汰されるのだろうか?

淘汰。
今の彼に、それはとても相応しい言葉だった。

それからまもなくして彼は死んだ。
役目を終えた動物のように、安らかな死に顔だった。

その星には、二度と彼のような「突然変異」は生まれることは無かった。
神となった彼の半身も長い年月の間に彼のことを忘れていくだろうと思われた。

だが、その星は覚えていた。
神として生まれながら、まるで塵のように消えていった存在を。
星は彼のために涙を零した。
止むことを知らない豪雨の原因は、誰ひとりとして残らず飲み込まれるまで誰にも判らなかった。


金色......From 大和 sai

最後の煙草が尽きた時
誰にも見つかることの無い安息の地で
最後の一人を殺した男が
誰かに決して見つかることのなくなった自分に向けて銃を放った。
どこからともなく拍手が沸きあがった。
それが「終演」への拍手だと気がつくのに時間はかからなく、祝福に包まれて彼の人生には永遠に開くことの無い緞帳が下りた。



to kikakupage

















アクセス解析 SEO/SEO対策