HEAVENS

from sai




HEAVENS



それは偶然だった。


時とほぼ同時に生まれ、

以来飽くことなく膨張し続ける歪な球形。

生み出される星々も、

彼にしてみれば自身が更に肥大するための過程に必要な

排泄物に過ぎない。


咀嚼もせずに飲込むような乱暴さで包容し、

漆黒の体内では全てが溶解する。


強い光は彼を、美しく繊細な虹色に見せる。

優しさに見せかけた残酷さに、

その先にあるのは緩慢な死と知っても誰もが陥落する。


自身は光も熱も風も持たない支配者

名は

「空」


軌跡を描く石の破片が、

またひとつ、彼の中に溶けた。