アル猫 to Junk・ロック

武能 子音

ーJunk Rockerー

 イヤホンの上にヘッドホン
 ヘッドホンの上に 深く被ったニット帽
 二つずつ 全部で四つのコードが 俺の耳から生えている

 黒目の上に焦げ茶を乗せて
 焦げ茶の上に黒を重ねる
 二重のフィルターが 厳重に俺の『眼』を守る

 俺はひきこもりだ
 自閉症?
 俺は誰にも関わらない
 だから誰も俺に近づくな

 声をかけるな

 自分のやるべきことだけをやって
 成すべきことだけはちゃんと成している
 ー俺の出す結果は常に満点だ

 それなのに何故?

 俺は家族に・他人に・何も望んではいないのに
 お前達は俺に望む事が多すぎるんじゃないか?

 一人にしてくれ

 耳に届かせるのは  結果を出す為に必要な 教授達の声だけで充分なんだから
 色彩はグロテスクだ
 色はどこにでも存在していて 不調和で汚らしい景色
 全てがモノクロに見える眼鏡が欲しい

 しかし全てがモノクロになったとしても
 俺は『鎧』を脱ぎ去ることは決して出来ないだろう…
 いくら全てを拒絶しようとした所で
 そこには必ず 消し去る事など出来やしない確固たる存在が存在しているのだから

 どうしようもない俺は これからどうすればいいのだろうか
 今は「学生」という非常に便利な肩書きがあるからいい
 しかしそれに依存していられるのも後二年だけだ
 俺は社会と共存など出来ないだろう
 妥協も強制もまっぴらだ
 −このままで いいはずがないのだ
 しかし…一体どうすればいいのだろうか
 本当に全くわからないんだ

 もしかすると俺は
 −何かに救いを求めているのだろうか…
 …馬鹿馬鹿しい
 こんな無駄な思考を繰り返したところで 答えなど出るはずが無いんだ…

 もういい
 少し気分を変えよう
 奇妙に心地よいあの場所に行こう
 そこで明るめのPOP'sを聞こう
 −可愛らしい幻聴に包まれながら 少し眠ってから 家に帰ることにするか…



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