デンドロバデス・オーラタス
僕の名前は眼。
どこかで、何かの拍子に落としてしまったボタンのような。
味なんてしないのわかってるのに舐めてしまう、金色のビー玉のような。
台風の次の朝、水たまり。映る、月と太陽のような。
僕の名前は眼。
見る事で思考し、見る事で感動し、見る事で生きる。
見る事で知り、見る事で泣き、見続ける事で死を送る。
そう、思い出せるのは一つの物語だけ。
亡くしてしまった写真のような。
記憶を辿れば。
見えてくる。
あの、笑顔。
こんなとこで物語なんか読んでる君、そんなに忙しくはないんだろう?
それなら聞いていってよ。
僕の、たった一つのお話。